目標管理については目標管理制度を導入したが、その見直す予定の企業が多くあるそうです。このことは現状では運用面で行きづまりを見せているのではないかと思われます。
目標管理制度の運用上の問題点として挙げられる代表的なものとしては、目標設定基準が不明確なことにより個人目標のバラツキが生じていること、部下任せの放任管理で管理者のフォローがないこと、処遇反映に力点が置かれ人材育成や動機付けの観点が弱いことがあげられています。
これらの問題点は、形だけをとりあえず急いで整えた結果として、実際の運用面において自社の状況に合わないことが生じたためにおきたと考えられます。
目標達成が困難になった時に、次のように言われた経営者がおられました。
目標達成の未達が続くと社員のやる気が無くなってしまう。
そこで、達成できる程度の目標を与えた方が良い。
また、管理者で次のように考える方もいました。
「人は元来活動的で、目標設定し、それに向けて努力する者である。としたら、目標を与えるよりも、できるだけやれと言って、各自に目標を設定させた方が良いのではないか。」
ここで「目標を与えるべきかどうか」について考えてみます。
まず、次の事が分かっています。
「一生懸命にやれ」「できるだけたくさん」という指示をすると、自分の能力に近いところに個人目標を設定する傾向が出てきます。
この場合に問題となるのは、特に能力の低い人です。能力の低い人も、自分の能力に近いところ、つまり「低いところ」に目標を設定するからです。
しかし、「できるだけたくさん」ではなく、「目標」を与えると、自分の能力よりも、与えられた目標に近いところに個人目標を設定するようになります。
能力の低い人に高い目標を与えると、「できるだけたくさん」と言われた時よりも高い目標設定をし、高い成果を上げるようになるのです。
ここから、特に能力の低い者には「高い目標」を与えることが有効であるということになります。
つまり、「できるだけたくさん」とか「一生懸命やれ」と言うよりも、具体的ではっきりした目標を与えると、行動の効率も高まるのです。
次に、「目標達成の困難度とモチベーション」について考えてみます。
目標達成が困難であると、モチベーションは低下します。
では、反対に、目標達成が容易な場合にはモチベーションは高まるのでしょうか。
実は、私たちのやる気はそれがたやすく満たせる時よりも、その充足に困難が伴う時の方がより強まる、という性質があります。
つまり達成が容易な「目標」は達成しようという意欲が低くなるのです。
また、達成しても喜びは少なくなります。
従って、「達成できる程度の目標」を与えるのは止めた方が良いということになります。
この考えからすると、五分五分の目標のとき、モチベーションは最も大きくなることになります。
これは経験からも納得される方が多いでしょう。
つまり、「確率」について「本人」がどう思っているのか、ということが重要になるのです。「客観的」には「五分五分」でも、本人が非常に難しいと思っていたり、易しいと思っている場合には、強いモチベーションは起こらないのです。
ここで成果を上げるために注意しなければならないことがあります。
目標は量だけでは不足です。例えば、量について目標を与えると、質には注意が行かなくなるのです。
以上のように、目標設定の仕方で部下のモチベーションは違ってきます。
「業績」を上げていくためには、目標設定の仕方に気を付ける必要があるのです。
「あいまいな目標が評価をあいまいにする」だけに、「目標を明確にする」ことが目標設定の大前提となります。特に定性目標の場合には重要な意味を持ちます。
設定原則を押さえて進める目標設定は、定性目標を含めて、あいまいさを排除することができ、またゴールが明確にされることにより、部下自身の進捗管理を進めやすくし、目標管理の理念「自己統制」を容易にしてくれます。
6f62966b1de45c12514a6c6fa30f94fb_m-1
赤坂の社労士事務所
福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
COLUMNです。
労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
整備、評価・処遇制度の構築など、人に関わる分野から経営を
サポートいたします。
社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰