あらゆる組織が、三つの領域における成果を必要とします。
すなわち直接的成果、価値の強化、人材の育成です。
これらすべてにおいて成果をあげなければ、やがて組織は衰退します。
この3つの領域における貢献をあらゆる仕事に組み込んでおかなけれげはなりません。
人材の育成に対して、 国は教育研修系の助成金を設けて企業を応援をしています。
この助成金には、OJTとOFF-JTの組み合わせによる研修を実施するようになっているものがあります。この組み合わせが研修の効果が高いからです。
OFF-JTは研修会社に依頼し、実施することになりますが、OJTは社内で行います。
この場合に、適切にOJTが行われているかが、問題になります。
「OJT」と聞いて何をイメージするでしょうか?
OJT(On the JobTraining)は職場内訓練と訳されているので、「この仕事はこうやるんだ」という、部下・後輩に仕事の手ほどきをしているイメージが大半でしょう。
つまり仕事を教えるというイメージです。
それも間違いではありませんが、別な視点も必要です。
OJTの本質は、職場の仕事を通じて、意識的・計画的に人を育てること、だからです。
しかし、「意識的・計画的に人を育てること」の視点が抜け落ちているために次のようなケースが見受けられます。
「ウチは初めからOJTだから」とさっそく新人を現場業務に放り込むケース。
一応、は先輩社員を指導役に据えてはいても、見よう見まねで「早く覚えろ」と無責任に突き放したり、手足のごとく新人をコキ使ったり、逆に、腫れ物に触るかのように敬遠し、「何もしなくて良いよ」と甘やかしたり、様々なケースがあります。
OJTは、能力開発や人材育成の代名詞ともいえるほどほとんどの企業で導入されています。しかし、導入されているOJTのほとんどが、「場当たり的な業務指導」となっているのが実情のようです。
せっかくOJTを導入してもこのように時系列に発生する仕事を「モグラたたき」のようにただつぶしていく場当たり的なOJTでは、効果が薄いといえます。
これでは「トレーニング」の体をなしていません。「OJT」は、「なってほしい一人前の姿」を目標に据え、足りない能力を計画的に身につけさせる訓練の場です。
その目的は、第一線の業務遂行でも、先輩社員のお手伝いでもありません。
「トレーニングを通して所定の能力を早期に身につけさせること」にあります。
教育研修系の助成金を活用する場合も、より高い研修効果をあげるために、OJTの本質を捉えて、実施することが重要です。