住宅街にあるケーキ屋さんでは、このところ固定客の再来が減ったと感じていたそうです。
そんなある日、お客さんから、大変な話を聞いてしまいました。どうやら固定客が減った原因は、店の販売員の仕事ぶりにあるようなのです。
店の販売員は容姿も愛想もよかったのですが、仕事が遅いという欠点がありました。それを厳しく注意すると、気が焦るのか、慎重さがなくなってしまったのです。
そのお客さんは言ったそうです。
ケーキは箱をあける瞬間が一番印象的で、その時に注文と違うケーキが入っていたり、そこまでではなくとも、ケーキが倒れていたりすると、それで全ての印象が台無しになってしまうというのです。
ケーキの味がどんなによくても、その一瞬でお客さんは、味の印象よりマイナスイメージの方を意識の中に刷り込んでしまい、店全体の評価を下げてしまうというわけです。
言えることは、相手が意識を集中する瞬間にやってしまう不適切な行為は致命傷だということです。
日頃の行いがどんなに素晴らしくとも、またその行為自体がどんなに役に立つものでも、受ける側は一瞬の不快感を、その全体評価として、いつまでも引きずってしまうからです。
経営でも同じようなことはないでしょうか。
給料日は、従業員が会社との関係を最も鮮明に、かつ身近に意識する瞬間です。
その時、たとえば残業代の計算が違っていたら、午前中に銀行口座に振り込まれるはずの給料が、午後になってしまったら、あるいは自分のライバルの方が多く給料をもらっているうわさ話を耳にしてしまったら、給料を受け取る感謝よりも「不快感」を印象付けられてしまうのです。
感覚ギャップがすれ違うのも、この給与支払いということの特徴かも知れません。
いずれにせよ、いくら支払うかではなく、従業員が受ける印象に注意を払うべきだと言えるように思うのです。
評価は「一瞬の印象」で決まる?
