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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
COLUMNです。
労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
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社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

コンピテンシー評価と360度評価

人事・労務

 コンピテンシーの評価は難しいといわれます。その理由は、「求められる職務の成果達成行動特性」といわれるように職務、能力、性格特性、プロセス、成果達成などすべてを含む多元連立方程式のような複雑な構造をしているからです。
 能力や技能は習得という単一の努力で済みますが、コンピテンシーの正体はよく氷山の絵で説明されるように、コンピテンシーは外に見えない動機、使命感、生まれながらの性格などの「心」と、外に見えるその人の「能力や技能」とが、「体」の行動になって成果を達成する、「心技体」がワンセットになった複合体です。
 しかし、この複合体も成果を達成する最後の段階での行動は、イチロー選手でいえば超ファインプレーとかヒットを打つ瞬間の離れ技のことです。
 コンピテンシーを交通整理すれば、
① 他人に見える行動である……観察でわかる(360度評価、上司評価、自己申告で)
② 人は、同じ状況であれば同じ行動をする……シミュレーションすればわかる(ヒューマンアセスメント、テストで)
③ 実際の評価は、具体的行動を評価する(定義と職種・職務別コンピテンシーで)
④ 評価される行動は対象者の職位、職務、役割ごとにレベルが違う(レベルで)
ということになります。
 評価には、中心化傾向(中位の評価に集中して差がなくなる)、ハロー効果(ある一点だけがよいために他の評価もすべてよいとする)など、誤りやすい落とし穴があります。コンピテンシー評価も例外ではありません。
 どの評価制度にもいえることですが、こういう誤りを防ぐには評価者訓練の他に、評価の仕組みを可能な限り客観的に作ることです。
 コンピテンシー評価の場合は、たとえば、同じ「情報志向」でも全社員共通のコアコンピテンシーの記述、職種別コンピテンシーの記述、マネージャの職務別コンピテンシーの記述の順に、行動が次第に具体的になり評価もしやすくなります。
 レベルづけや代表的行動例をつければ、なおピンポイントに行動が特定され、中心化傾向やハロー効果などの誤りを防ぐことができます。
 日本では、風土や国民性から360度評価はなじみにくいといわれています。
 360度評価を処遇に結びつけると、上司の指示命令を聞くよりは、部下や同僚の言うことを聞いた方が良いということになってしまいます。部下にゴマをする上司が出てくるかもしれません。
 指示命令する人が処遇を決める人であり、評価をする人、指導をする人です。
 その原則をはずすと、指示命令系統がおかしくなってします。
 教育目的で「360度評価」を導入することは、効果があります。
 管理職に対して360度評価を行い、その結果をフィードバックすることは、中途半端な研修を行うよりずっと効果があると聞きます。処遇には反映しないことを条件に、管理職の育成を主眼に、管理職に対する360度評価を行ってみてください。

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