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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
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社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

賃金制度をチェックする

人事・労務

3月決算の会社では、そろそろ次年度の経営計画を検討されていることと思います。
そこで、経営計画を推進するシステムである賃金制度について考えて見たいと思います。
従業員の賃金は、つい10年から20年前までは、業界の平均水準に従って、従業員の年齢に若干の業績や貢献度を加味して決めればよいものでした。
その意味では、非常に分かりやすいものだったわけです。
その背景には「企業は家族」式の終身雇用制度があり、誰もが超長期の期間の中で、自分の賃金や生活プランを考えるのが当たり前という社会情勢があったからだと思います。
しかし、終身雇用と同じくらい「転職」が当たり前になり、パート社員、派遣社員やフリーター等の非正規社員、あるいは専門業のアウトソーシングなどが大きなウエートを占めるようになってきて、私たちの社会的背景も大きく変化しました。
賃金制度は年々複雑化し、専門化しているように見えることが少なくありません。しかし実際に複雑化しているのは、制度ではなく企業組織や人材の方でしょう。
組織構成員の役割自体が複雑化し、人材の価値観が多様化するから、納得性のある制度を作るのが難しくなるのです。
従って、賃金制度を作る場合には、難しいテーマを更に難しくするのではなく、できるだけシンプルな原則に立ち返って考え方を整理することから始める必要があるのです。そうしなければ、たとえ制度は導入できても、実際の運用で行き詰まってしまうでしょう。
そこで原則に戻ってみると、賃金制度とは、組織員が力を合わせて獲得した収入を組織員に分配する仕組みのことだと分かります。そしてそのため、必然的に、
①支払い総額が企業として妥当な範囲内でなければならない
②その分配が適正でなければならない
という原則を必要とします。
①がその範囲を超えると、当然企業が成り立たなくなる一方で、②がなければ従業員の満足を得られず、組織が内部から崩壊する危険があるからです。
このため、従来の制度を批判して新しい制度を構築するのではなく、現在の経営環境に適した方法で賃金を決めるのだ、という柔軟な認識こそが大切になります。
ようするに、
★賃金の総額調整弁をどう作るか
★どんな形で、賃金総額を個々の人材に配分するか
★その賃金配分を、どう動機付けにつなげるか
まず①総額調整弁、②適正分配、③モチベーションの視点から、現在の賃金制度の問題点をチェックします。
明確な賃金制度がない場合でも、現行制度がどんな印象を従業員に与えているかを調査すれば、具体的な問題点を浮き彫りにできるでしょう。
賃金制度を見直すに当たっては、その賃金制度が機能的にも法的にも妥当であることを確認しながら、更に完成度の高い制度案を考えて行くことが必要です。
その際に賃金制度の段階的な完成を狙うのが現実的かも知れません。

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