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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
COLUMNです。
労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
整備、評価・処遇制度の構築など、人に関わる分野から経営を
サポートいたします。
社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

人材活性化のアプローチ

人事・労務

企業の人材の活性化を、犯罪防止の視点と同レベルで捉えることはできませんが、1つ示唆するポイントがあります。それは、
犯罪者が罰の重さよりも検挙を気にするのと同様、人材は評価の軽重よりも「実際にどう思われる」か、その内容を気にする傾向にあるということです。
たとえば、実力主義の評価制度を新たに導入した甲社では、それで組織が活性化したとは感じられない一方、各部署ごとに各人に業務をリストアップさせ、「業務の洗い直し」プロジェクトを実施した乙社では報奨制度が未制定であったにもかかわらず人材の意識が一変したのです。
業務に過度に慣れ親しむと、改善努力をしなくなるのが人の特性です。その上、誰も自分の業務をチェックしないとなると、ただ「動作を繰り返すだけ」の状態に陥りやすいのです。
単に制度だけを変えた甲社では
こんな制度で私の仕事を評価できるわけがない
しらけムードが先行する一方で、まず個人業務の洗い直しに取り組んだ乙社では、組織内の緊張感が一気に高まったということです。
制度充実よりもまず「人と仕事を見る」ことが効果をもたらすのは、刑罰の重さより検挙率の高さを恐れる人の心理と似ているのかも知れません。
甲社の人材活性化策は、評価制度を整えるという間接的なものでした。
評価制度を整えれば、それによって人材は奮起し、組織に緊張感が高まると期待したわけです。
しかし、こうした間接的手法は、人材が 「自分は決して正当には見られていないと感じる状況を放置」した時、ほとんど効果も生み出さないものなのです。
乙社がとった、組織に新たな緊張感を生み出し、人材に自己革新のきっかけを与えたという点で、直接的アプローチが優れているように見えます。
ただし、これを継続するとどうでしょうか。果たして同じように、毎年人材に緊張感を生み出し続けるのでしょうか。
人材の意識を高めて、より活力的な行動に向かわせるには、
直接的なアプローチと、明確な制度を形成して、何をすればどんな報奨があるかを知らしめ、人材の努力を間接的に促すという両アプローチが組み合わされることが不可欠なのです。
直接的手法をとらないまま制度を作っても、決して組織には定着しませんし、直接的なアプローチだけでも、やがてマンネリ化してしまうからです。

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