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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
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社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

ソーシャルメディアとインナー・ブランディング

経営

 ツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアはその利用者を年々増やしています。
 A社長がソーシャルメディアを使い始めたのは2年ほど前ですが、最近になって良い意味でも悪い意味でも、その威力を改めて痛感しているそうです。
 そのきっかけとなったのが、ソーシャルメディア上での出来事でした。
 ソーシャルメディア上での出来事を知ってA社長が考えたのは、これからの企業には「透明性」と「一貫性」がますます求められるということでした。
 というのも、何かを隠そうとすると却って世間の信頼は損なわれ、言っていることとやっていることが違えば、社外からも社内からも信用されなくなるからです。そして、その傾向はソーシャルメディアによって加速していると感じたのです。
 A社長は我が身と自社を省みざるを得ませんでした。自分たちはどうだろうか、と。

 そもそもA社はミッションを「いつまでも、いちばん地域と一緒にいるスーパー」「食で幸せと健康を支える」とし、ビジョンを「御縁のあった人々をすべて幸せにする」としていました。
 これをもう一度、社内で共有し直そうと決意したのです。
 翌日からA社長は社員・パート・アルバイトの全員一人ひとりと面談を進めていきました。
 その場で話したのは、A社のミッションとビジョンの確認。そして彼らの意見を聞きながら、ミッションとビジョンの実現にぜひ協力してほしいと頼み込んだのです。
 そうした上で、手紙でもメールでも全員が参加できる意見箱を設置しました。
 その反応は予想をはるかに超えていました。

 実際に採用、実行に移された意見は100件を超えたそうです。提案した人に権限を与え、 仕事を任せてみると、A社の動きは加速していきました。
 鮮魚売り場で多く出る発泡スチロールを再利用した立体的なポップが好評を博すと、部署や店舗を越えてその動きは広がっていきました。
 また、A社長が頼んでもいないのに、この農家にこんな良い食材がある、面白い試みをしている地元の農家があるといった情報がA社長にもたらされるようになったそうです。
 A社で行った試みはとてもここには書き切れませんが、それらのアイディアがどうして出てきたか、その源を辿ってみると、やはりミッションとビジョンの共有にあったというのがA社長の実感です。
 ただ、ミッションとビジョンの共有はどこの会社でもやっていることであり、珍しいことではありません。
 では、なぜA社はこんなに成功することができたのでしょうか。

 ここで言う成功とは、従業員が自律的に考え、行動する組織の醸成を指しています。
 よく権限委譲が従業員のやる気を引き出すと言われますが、ただ権限委譲してもうまくいくはずはありま
せん。
 また、経営陣としても、ただ権限委譲することに不安を覚えるでしょう。そこに必要不可欠なのは信頼関係です。
 A社長のソーシャルメディア体験に沿って言い換えると、信頼関係とは、「透明性」と「一貫性」ということになるでしょう。

 言っていることとやっていることに矛盾のない企業、裏表のない企業であれば、従業員自身が心底から納得できて初めて会社の中に信頼関係が生まれ、権限委譲できる土壌ができるのです。

 これまで「ブランド作り」といえば、外向きのものばかりでした。「私たちはこんな企業です」というアナウンスを顧客向けに行ってきたのです。
 しかしこれからは、内向きのブランド作り、いわゆる「インナー・ブランディング」も必要になってくるのではないでしょうか。

 なぜなら、ブランドを体現するのは結局従業員であり、従業員が信用する会社でなければブランドを形成することなどできないからです。
 身内が信用しない会社を誰が信用するでしょうか。内外の信頼を勝ち得るためのインナー・ブランディング。従業員の一人一人が胸を張ってこの会社の一員であると言えるためのインナー・ブランディング。
 A社長がソーシャルメディアから感じた「透明性」と「一貫性」の必要とは、このようなことではないでしょうか。

 A社長が痛感しているように、今後ますますソーシャルメディアの影響力を大きくなっていくと考えられます。
 内と外で顔が違っていれば簡単に見破られ、その矛盾は世界に拡散してしまいます。
 こうしたソーシャルメディア時代には、ますます「透明性」と「一貫性」が求められます。
 そうした中で、企業としても社員の信頼を得ることがとても重要になってきます。「透明性」と「一貫性」のために内向きのブランド作りに取り組んでみてはいかがでしょうか。

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