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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
COLUMNです。
労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
整備、評価・処遇制度の構築など、人に関わる分野から経営を
サポートいたします。
社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

平成28年度「年度更新」のポイント

労働・社会保険・助成金

 労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を合わせて労働保険といいます。法人であるか否かを問わず該当する労働者を一人でも使用する事業主は、原則として労働保険に加入する義務があります。

 労働保険は、適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」といいます。)が成立します。
 保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名または名称および住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を所轄労働基準監督署長または所轄公共職業安定所長に届け出なければなりません。これが「保険関係成立届」です。
 雇用保険は、被保険者となる労働者の1カ月あたりの就労日数や1週間における所定労働時間数により、加入要件が異なります。このため、労災保険は事業場として加入し、すべての労働者がその対象となるのに対し、雇用保険は労働者ごとに加入手続きをとります。

年度更新とは
 労働保険の保険料は、毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間(これを「保険年度」といいます。)を単位として計算されることになっており、その額はすべての労働者(雇用保険については、被保険者)に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を乗じて算定することになっております。

 労働保険では、保険年度ごとに概算で保険料を納付(労働保険徴収法第15条)し、保険年度末に賃金総額が確定したあとに精算(労働保険徴収法第19条)するという方法をとっています。
 したがって、事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きが必要となります。
 これが「年度更新」の手続きです。

 この年度更新の手続きは、毎年6月1日から7月10日までの間に行わなければなりません。
 手続きが遅れると、政府が保険料・拠出金の額を決定し、さらに追徴金(納付すべき保険料・拠出金の10%)を課すことがあります。

年度更新手続上の留意点
 年度更新において納付する労働保険料の算定については、その事業で使用されるすべての労働者に支払った賃金総額に、その事業に応じて定められた保険料率を乗じて算定し、一般拠出金の額については、賃金総額に一般拠出金率(1000分の0.02)を乗じて算定を行い、申告・納付します。

賃金総額の適正な把握
 労働保険料等は、その事業に使用されるすべての労働者に支払った賃金の総額に、その事業に定められた保険料率・一般拠出金率を乗じて算定します。そのため、この賃金総額を正確に把握しておくことが必要です。
  「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業に使用される者で賃金を支払われる者をいいます。
 ただし、その事業に使用される労働者のうち、雇用保険料の負担が免除される「高年齢労働者」(その保険年度の初日において満64歳以上の者)や雇用保険の被保険者とならない者(学生アルバイト等)に対して支払った賃金がある場合には、労災保険に係る保険料と雇用保険に係る保険料とを区別して、それぞれ算定したものの合計が労働保険料となります。

 「賃金」とは、賃金、給与、手当、賞与など名称の如何を問わず労働の対償として事業主が労働者に支払うすべてのものをいい、一般的には労働協約、就業規則、労働契約などにより、その支払いが事業主に義務づけられているものです。

保険料
 労災保険は、全額事業主が保険料を負担します。保険料は、実際に支払った賃金総額に保険率を掛けて算出します。保険率は、業種によって異なり、労働災害発生率が高く重篤な業種ほど高くなります。災害発生状況等により保険料を増減するメリット制もあります。

費用徴収
 労働保険の手続きをする前や保険料を滞納している期間中に労働災害が発生した場合には、労災保険給付額の40%から100%の範囲で費用徴収が行われることがあります。

平成28年度「年度更新」のポイント

●雇用保険料率は「引下げ」
 この保険料とは「労災保険料」と「雇用保険料」ですが、保険料算出に使用する保険料率が、労災保険料率は前年度から変更ないものの、雇用保険料率は引き下げられ、一般の事業1000分の11(前年度1000分の13.5)、農林水産・清酒製造の事業1000分の13(前年度1000分の15.5)、建設の事業1000分の14(前年度1000分の16.5)となっています。

●手続きに必要な様式等の入手方法
 必要な様式やツール等は、厚生労働省のホームページに随時アップされます。
 今年度は、申告書の送付は5月末からスタートし、提出は6月1日から7月11日までの間に行いますが、事前に準備できるものは早めに取り掛かっておきましょう。

●「法人番号」の記載が必要に

 申告書の様式が変更され、「法人番号欄」」が追加されています。
 法人番号とは、国税庁から通知された13桁の番号で、この番号を記入します(1法人につき1つ割り当てられるので、支店や事業所においても同じ番号を記入します)。個人事業主の行う事業については、法人番号欄の13桁すべてに「0」を記入します。

建設の事業は消費税の取扱いに注意
 建設の事業で労務費率により保険料の算定基礎となる賃金総額を算出する場合、前年度中に終了した事業については、事業の開始時期により消費税率等に係る暫定措置の適用の有無が異なります。

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