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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
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社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

プロと呼ばれる人と、趣味レベルの人との取り組みの違い

経営

 製造や建設の現場で起きるミス、サービス業の接客現場で生まれる不手際、そんな現場の一つ一つの行動が、業績自体を大きく左右する時代になって来ました。時には業績ばかりではなく、様々な社会問題を引き起こす事態も続出しています。
 その背景には、競争の激化に伴って、顧客の要望がどんどん厳しくなる一方で、現場レベルが世の中の変化のスピードについて行けていないという現状があるのかも知れませんが、それ以前に同じ失敗を何度も何度も繰り返す従業員が増えたという経営者の嘆きも、非常に多いように感じるのです。
 ところが、こうした現状を招くのは現場に戦略的視点を持たせようとすることが欠けているからだという指摘もあるのです。
 
 戦略について考える際には、戦略とはいったい何を意味し、どんな成果を出すものなのかをイメージしておかなければなりません。
 その際、たとえば将棋や囲碁で、プロと呼ばれる人と、趣味レベルの人との取り組みの違いを比べれば分かりやすいと言われます。
 たとえばプロの囲碁士や将棋士は、一番一番勝負の手順をよく覚えています。そして何度も何度も一つの勝負を振り返り「もっと良い手はなかったか」と反省を重ねるわけです。
 そしてその蓄積が、勝つためのノウハウと勝負勘を確実に養って行くのでしょう。ところが、趣味として遊ぶ時は勝ち負けを楽しむだけで、打った手順を覚えていたりはしないものです。
 勝ち負けだけでは負けた悔しさは残るものの、具体的な反省材料もなく、勝負ごとに上達しているという実感はつかめません。ただ負け続けるライバルに勝つために手ほどき本を買って来て、密かに研究したりする程度です。
 しかし、その
 ①勝負の手順自体を覚えないことと、
 ②簡単に手ほどき本に走ってしまう傾向が戦略的ではないと指摘されるわけです。

 その指摘によれば、戦略とは戦いの道筋を意図的・意識的に作ることなのだそうです。
 田畑の小道は、田畑を耕すための通路にすると同時に、田畑の境界線を明確にするために100%意図的に作られます。その点、歩きやすいところに「自然にできる踏みわけ道」とは本質的に異なります。あくまで耕地活用に意識的に特化した道なのです。
 その意識的であることに意味があると言います。

 常に仕事の道筋をつけようとする活動は、意識を高めることを通じて、状況を改善する姿勢を生むから効果的なのであり、決してお手本を探してそれをマニュアルのように受け入れることではないのです。
 まず前日の夜に明日、一日でやり終えるべきことを洗い出して、段取りを想定しておくのです。そして、極力段取り通り行動しようとしながら、一日を過ごす。
 そうすると、非常に意識的に一日の活動に取り組むようになり、徐々に無理やムダが見えるようになってくるそうです。言葉にすれば何でもないことのようですが「頭で考えただけのことと、実際に意識的に体験して痛感したこととでは、その改善や実行のエネルギーが全く違う」とある社長はおっしゃっていました。
 一般には、結果(成果)ばかりが記憶されて、その過程は忘れ去られます。それどころか、期限に追われてバタバタしているうちに結果が出てしまうため、何が良い結果を生み、何がマイナスになったか意識できないまま、仕事が終わってしまうことも少なくないのです。まさに趣味で将棋や囲碁に取り組む時の傾向が、そのまま仕事に持ち込まれてしまうわけです。
 戦略にはそのまま導入できるお手本があるわけではなさそうです。
 と言うより、戦略はまさに「戦いの道筋を意図的に作る」ことであり、それこそが戦いに際しての「意識を高め」、「記憶を深め」、「問題意識を形成して」、より深い認識やより大きな成功へ導く道を発見するスタートなのだということでしょう。

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