この夏の賞与もフィードバックまで一連の人事評価を終えられたことと思います。
ご相談いただくものには、賃金・評価制度に始まり、賞与配分、評価制度の運用、昇給など様々な内容にわたりますが、その中で最近多くなっているのが、評価のご相談です。
仕事柄、賞与はいつも支給する経営者の立場でお話しますが、貰う側にとってこれだけインパクトのある賃金は他にありません。社会人になってはじめて賞与をもらった時のことを、覚えていますか。
少なくとも評価に結びついた賞与を貰ってきた方なら、支給日の独特の期待感を覚えているのではないでしょうか。
正しい評価に結びついて評語決定までが、わかりやすい手続きでなされ、評価内容についてしっかりフィードバックが行われれば、評価結果を我がこととして受け止め、来期に向けてやる気を引き出すことができます。
そのためには、評価者であり上司である管理職が、キチンとその職責を全うしていることが必要です。
景気が上向いてきた中で、日々の仕事を通じて社員一人ひとりのパワーアップを図るには、その責任者として管理職が評価業務と組織運営について自覚を持って行動することが何より重要になってきます。
評価の際、「不満」の動機となりやすいのは、自分はきちんと「見られていない」という不信感です。経営者や管理者は現場を知らないとか、経営者が管理者の能力不足に気付いていないとか、支払い方が不公平だという不満のほとんどは、自分は正当に見られていないのではないかという不安のようなものです。
「いや、私は従業員一人一人を十分見ている」と言われる経営者の方でも、ただ見ているだけではなく、従業員が「ああ見てもらっている」という実感を抱く工夫を行わなければ、見ていないケースと同じような「不満」を、各人に持たれてしまうかも知れません。
もちろん評価基準ではなく「見る基準」を持てば、それで人事考課が完成するわけではありません。
賃金や退職金の支払条件や昇進の決定条件を具体的に決めなければならないからです。
しかしいかなる条件設定をしても「適切に見る」ことを制度化し、従業員にも「経営者が見るというのはこういうことなのだ」と分かる形を持たなければ、運用は難しくなるばかりでしょう。
能力や業績などだけではなく、経営者や管理者が「こうして欲しい」と要望したことができたかどうかを評価するなら、そこには経営者のニーズに応えようとするプロ意識も生まれてくるのではないでしょうか。
経営者が「こうして欲しい」と明確な姿勢を持つことには、評価の不満を軽減する以上の意味があるはずです。
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