懲戒処分は、従業員の企業秩序違反に対し、会社に課せられる一種の制裁罰です。
懲戒処分を行うには、その事由と種類を就業規則に明記して、労働契約の内容としておくことが必要であると解されています。
つまり、就業規則などに記載されていない事由については、懲戒処分を行うことはできないし、また、就業規則などに規定されていない種類の処分もすることができないと考えられています。
例えば、遅刻が多いこと理由に、懲戒処分として降格されたような場合に、就業規則の懲戒の種類に降格処分が規定されていない場合、その処分は無効になります。
一方、懲戒処分として役職を降格させるのではなく、人事権の行使として降格させる場合があります。
従業員の誰を役職者にするのか、また、役職者の地位にあった者を業績不振や業務不適格などを理由に更迭するのかは、会社の人事権の裁量的行為になります。
したがって、会社は、就業規則などに根拠となる規定がなくても降格をさせることができます。
降格の場合などでは、懲戒処分による降格か、人事権の行使としての降格かによって、対応は異なってきます。
就業規則に載っていない懲戒処分
