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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
COLUMNです。
労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
整備、評価・処遇制度の構築など、人に関わる分野から経営を
サポートいたします。
社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

中小企業に求められる組織マネジメント

経営

  A社は小規模なチーズ工房です。A社の始まりはA社長のチーズへの「こだわり」であり、この「こだわり」をより多くの方に伝えたいという思いが高じて事業を起こしたそうです。
 しかし、いくら商品に自信があっても、品質の良さを知ってくれるお客の範囲には限界があり、顧客のほとんどが地域の人達でした。
 しかし、インターネットの普及によって、A社を取り巻く環境が徐々に変わり始めました。そのきっかけは、一度立ち寄っただけのお客さんが、A社のチーズをブログで紹介してくれたことだったそうです。折からの健康ブームも追い風となって、A社のチーズの美味しさは、ブログからブログへ口コミによって、少しずつ、地域の外に広がっていったといいます。
 以前は、月に一件あるかないかだった問合せが、日に何度も掛かってくるとなれば、まさしく嬉しい悲鳴だったそうです。
 しかしながら、物事はそうすんなりいかないもののようです。
 勢いに乗って自社のホームページを開設したのはいいのですが、相次ぐ注文に十分に応えるだけの生産が間に合わないばかりか、お中元お歳暮の贈答品が増える季節となると、問合わせの電話に出ることもままなりません。
 のみならず、発送作業に追われて、肝心のチーズ作りが疎かになってしまうという事態にまで及んだそうです。
 凝り性のA社長にしてみれば、梱包にまでこだわりたい。といって自分が他の作業にかまけてしまえば、肝心のチーズ作りが疎かになってしまう。
 短期のアルバイトを雇ってみても、問題が解消されるどころか、「こだわり」がむしろ損なわれてしまう結果です。
「このままでは、次の繁忙期は乗り切れない」
と感じたA社長は、アウトソーシングで専門家の力を借りるという決断に、最終的にはたどり着いたといいます。
  A社長が「迂闊だった」と話されるのは、かって人手が足りないことを理由に、商品開発社員にも商品発送や検品を手伝わせていたことだそうです。そのことが結果的に本来、能力を発揮すべき商品開発が疎かになり、士気を低下させてしまったのだといいます。
 それが、アウトソーシングの活用によって、本来の仕事に集中させることができ、実際にオリジナル商品を開発し、人気商品を生んだといいます。
  A社長は、「なんでも社内人材で対応することばかりを考えていると、色々なことが制限されてくるのですが、外部の力をうまく活用すれば、まだまだ顧客への「こだわり」を実現できそうですね」と語ってくれました。
 
そのとき、やはり重要なのは、A社長が「こだわり」をどこまでも大事にしたように、「会社の中核となる業務」と「それ以外」の見極めだと思われます。
 
そして「会社の中核」を大事にしたいなら、アウトソーシングを投げっぱなし、やりっぱなしと考えないことは強調したいところです。

 変化の激しい時代において、経営者が思い描くビジョンを実現するためには、内部、外部に捕らわれることのない、組織のマネジメントが求められているのかも知れません。
※アウトソーシングとは
  アウトソーシングは、アウトソーシングを受託する企業の持つ設備・人材・資金などの経営資源を、アウトソーシングを委託する企業が自社の資源として捉えることにより、過剰・余剰の資源を保有せずに経営効率を高めていくために用いられます。
  従来から、製造業における外注や下請け、人材派遣、コールセンター業務、施設管理、物流、福利厚生、教育・研修など、自社に設備やノウハウなどがなく、外部の経営資源を活用することが効率的あるいは合理的と思われる分野で活用されてきました。
  近年は、システムやソフトウェアの設計・開発等を受託するIT 関連のアウトソーシングや、総務・経理・人事などのバックオフィス部門の業務へと、アウトソーシングの対象領域は広がっています。

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