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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
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労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
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社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

仕事の道筋をつけようとする活動

経営

 あるフランチャイズ事業を展開している経営者A社長は、営業担当の資質について、こんなことを言われます。
 それは、「いわゆる名人芸で営業している人は、勢いに乗ると業績を上げるが、小さな挫折で行き詰まるし、自分の営業方法を他者に教えて、自分は余裕を持つこともできない」ということです。
 逆に慣れに溺れず、訪問前にあれこれ想定問答を繰り返し、提案の道筋を作る習慣を持つ担当者は、挫折時に強いだけではなく、優れた管理者(指導者)にもなれるのだそうです。
 想定問答で「意識的」になる分、商談上の印象が的確に記憶され、同じ失敗を繰り返さないばかりか、他者に指導する見識もつくからでしょう。
 
しかし一般には、結果ばかりが記憶されて、その過程は忘れ去られます。
 それどころか、期限に追われてバタバタしているうちに結果が出てしまうため、何が良い結果を生み、何がマイナスになったか意識できないまま、仕事が終わってしまうことも少なくないのです。

 では、そうならないために何をすべきなのでしょうか。
 B社では、従業員に毎朝30分、その日の業務の段取りをつける時間を持たせています。
 経営者にとっては「最初は、その30分がもったいなくてしかたがなかった」そうですが、今では「すぐに仕事に向かわせる危険」に比べたら、もっと考えさせる時間を持ってもよいという考えになったといいます。
 その30分で従業員は「今日の仕事」を頭でイメージし、それぞれにその仕事の「道筋」を考えるようになるため、業務中の「意識」に大きな差が出るのです。
 たとえば営業担当者では、従来、ただ忙しく活動することで満足していた人材が、自然な形で、「今日の受注ができなかったのはなぜだろう」と考えるようになるそうです。
 あるいは事務担当者も、今日やり終えたかった仕事が終わらなかった理由を考えるようになります。
 そして自主的に担当者ミーティングを始めるようになったというのです。
 もちろん以前も反省しなかったわけではありませんし、悔しい思いも小さくはなかったでしょう。
 しかし、事前に準備することを通じて、業務中の意識が深まり、その結果仕事の記憶が鮮明になるという成果が、反省自体の効果を大きく高めているのです
 人材育成効果がここにあります。
それは、
(1)あれこれ事前に想定してみることを通じて、活動自体が計画的になるばかりではなく、
(2)想定通りに行かない現実の中で活動内容を自然に覚えられるようになるため、むしろ
(3)経験した問題や不都合が頭から離れなくなって、当然のように
(4)「もっとやり様はなかったのか」と考え続けるようになるからです。
 
常に仕事の道筋をつけようとする活動は、意識を高めることを通じて、状況を改善する姿勢を生むから効果的なのであり、決してお手本を探してそれをマニュアルのように受け入れることではないのです。
 そしてだからこそ、日々の活動の中で、人材が自ら成長する「道筋」を探せるムードが組織に広まって行くわけです。

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