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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
COLUMNです。
労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
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社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

賞与評価の時季「シンプルな人事評価制度」を考える

人事・労務

様々な社内制度の中に「人事評価制度」と呼ばれるものがあります。これは、文字通り人材を評価して、その給与や役職などを決める基準となるものです。
しかし一般の企業経営で、人事評価制度、あるいは人事考課が経営の大きなテーマになることは、あまりなかったように思います。
そのため、経営者の間でも、
人事評価制度はあったらいいなとは思うけれど
実際に熱心に作成に取り組むほどの
動機は持てない方が少なくないのかも知れません。

新しい制度や考え方が普及しにくい背景には、年長者尊重の文化の中で長年育まれた「年功序列制度」が、今も私たちの心の深いところで生きているからかも知れません。
実力主義の典型であるプロ野球の世界でさえ選手間の「年功」や「年齢」意識は強いようですので、表面に見えるほど、私たちの感覚は成果主義にも能力主義にも移行し切れてはいないのです。
しかし、そこに「別の問題」が出てきているように思います。
「年功序列」は、経営者や管理者にとって、相当に便利な制度でした。それは、
特別に個人を観察したり評価したりしなくても
年齢や勤続年数など客観的な要素で処遇を決める

ことができたからです。

従業員の間でも、仮に仕事の中心が若いAさんでありながら、年齢も勤続年数も上のBさんの方が給与や地位が高くても、「なんとなくそれが自然である」かのように感じることができました。
もちろん、そうした古きよき時代の現実は、今や「定年延長」一つをとってみただけでも、成り立たなくなったと分かります。
そのために、成果主義であれ能力主義であれ、とにかく
若くても、勤続年数が短くても、
組織に有益な人材の方を厚く処遇したい

とする動きが当たり前のように出てきて、
もはや年功序列の時代は終わった
ことが常識にもなりました。
ところが、終わったはずの年功序列時代の「一つの癖」が、今も無意識的に引きずられてしまっているケースでは、
  ・新しい人材評価制度を作ったが、うまく運用できない
  ・年功序列は疑問でも成果主義や能力主義にピンとこない

というマネジメント実感が根強く残っているかも知れません。

その年功序列時代の「一つの癖」とは、
人事評価を客観的で万能な「数値」で捉えよう

とする感覚ではないかと思います。
年功序列時代は年齢や勤続年数など、誰が見ても明らかな「評価基準」がありましたが、それに代わる成果主義や能力主義にも、同じように、「誰の目にも明らかな客観基準を作りたがってしまう」傾向が、ないだろうかという疑問です。
ではいったいどうすればよいのでしょう。どうすれば、高齢化社会・競争社会にはそぐわない年功序列を脱却し、納得性の高い新しい制度を導入することができるのでしょうか。
そのためには、まず年功序列制度そのものではなく、その底に眠っていた「経営感覚」にスポットを当て、変革しなければならないのです。
むしろ評価に自動性を与えてくれた「年功序列」の存在を忘れ、つまり客観的な基準をいかに作るかではなく、原点に戻って「人材の努力に公平に報いる」にはどうするかを考えるなら、複雑な方式よりも、もっと容易でもっと効果的な視点が浮かび上がってくるように思うということです。
いずれにせよ、もはや絶対的尺度を失った現在、人事評価(考課)を考えるには、新しい「経営視点」が必要なのです。
その新しい経営視点とは、
評価の基準ではなく「人材を見る基準」を持つことです。
具体的には、各人材に「何をして欲しい」のか、その「役割や成果の期待」を明確にすることです。

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