「教育で交通事故はなくせない?」。トラック運転手の安全運転指導を得意とするA社の社長は、こんなことを言っています。それは、事故の悲惨さを見せても安全への注意を促しても事故がなくなるケースは少ないというものです。
意識に問いかけて、いくら注意を促しても、人がそれで「危険運転者」から「安全運転者」に変わることはないというわけです。
しかし、意外な方法で事故を少なくすることができると言います。
それは、自分が運転する自動車の「扱い方」を徹底して指導することだそうです。
例えば、
自動車を駐車場のラインや建物にきちんと平行に停める
自動車ボディーの洗浄を怠らない
運転席を絶えず清掃させる
などというものです。
A社長が話してくれたのは、次のような内容でした。
よく事故を起こす運転者と事故のない運転者を比較すると、車の停め方とか清掃度合いとか、そんなものが歴然と違うのです。
だからまず、優良運転者の行動パターンを真似ようという呼びかけのつもりで、始めたのです。それが、当初の想像以上の成果を生んだということです。
その「想像以上の成果」は偶然なのでしょうか。
自分の机の周りを整頓できない人材は、創造的な企画ができないと指摘します。
一般の印象では、創造的な人材は机の周りが雑然としているイメージがあると反論すると、「それはかってどこかの天才がそうだったのを、テレビや演劇で誇張して印象づけているためだろう」と言うのです。
社長は、経験上、机の整頓ができない人は頭の中も整理できていないことを指摘します。
「頭の中できちんと情報を整理する習慣を持っているから、込み入った企画や難しい計画に取り組めるのは分かるでしょう」と言いながら、社長は机の周りやファイリングの仕方を厳しく指導することなしに企画屋を育成することは難しいとも言います。
自分のトラックの停め方への配慮やこまめな洗車が事故をなくし、机の整理までもが頭の整理につながって、新しい企画を生み出すなどと言われると、確かににわかには信じがたいところが残ります。
しかし、私たちの日常実感を探ってみれば、うなずける面も確かに少なくはありません。まさに人材教育現場では、知識を植えつけるより、行動パターンを変える方が効果的であるケースが多いからです。
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