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赤坂の社労士事務所

福岡市中央区赤坂の社労士事務所「赤坂経営労務事務所」の
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労働・社会保険の諸手続や助成金活用、給与計算、就業規則の
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社会保険労務士法人赤坂経営労務事務所
代表社員 大澤 彰

パート社員の賃金格差に対する納得度

人事・労務

 国税庁が発表した「民間給与実態統計調査」によると、2012年の民間企業平均給与は前年比1万円減の408万円だったことが明らかになりました。
 雇用形態別では正規労働者の平均給与が468万円、非正規労働者が同168万円と正社員より300万円少ないことが明らかになりました。
 この数字をどのように読むかは個人差はあるだろうと思いますが、正社員と非正規社員の格差は大きいように思います。
 ここで考えてみたいのは、この賃金格差に対する納得度です。
 ある調査によるとこの賃金差を納得できるかどうかは「責任・仕事内容」の差の有無が大きく影響しているようです。
   納得できる理由としての第1番の理由として「責任の差」「職務内容の差」、「勤務時間の自由度」です。2番目の理由では「残業がない」、3番目の理由には、「配置転換や転勤がない」となっています。
 つまり賃金差を納得する理由には「職務内容そのものの差」に限らず、加えて「責任の差」、「勤務時間の自由度」、「残業負担の差」等も認識されていました。
 一方、納得できない理由の第1位が、「職務内容・責任が正社員と同じ」という理由です。 同じと認識していないにしても、「職務内容・責任の重さに見合わない」を加えると、8割が職務内容や責任の重さに対して現実の賃金差が納得できないとしています。

 近年、わが国では雇用の短期化や多様化がみられます。平成22年就業形態の多様化に関する総合実態調査(厚生労働省)によれば、非正規労働者が全労働者に占める割合は38.7%となっており、なかでも、パートタイマーは非正規労働者の約6割を占め、年々増加傾向にあります。現在では、パートタイマーは企業の重要な戦力となり、企業経営にとっては不可欠な存在となっています。
 パートタイマーは、今後もその数は増加すると推測されます。パートタイマーが専門業務や管理業務などの中心的役割を担う労働力となりつつある状況において、これらのパートタイマーの能力発揮がなければ、企業は人材の枯渇を招き、生産性の向上や企業の発展にも重大な影響を与えかねません。
 こうした観点から、今後のパートタイマーの活用と人事制度の在り方について整理してみたいと思います。
 第1に、パートタイマーの職務範囲の明確化です。
 一般に、パートタイマーからは「わたしはパートだから・・・」や正社員からは「あの人はパートだから・・・」という声が聞かれ、双方が曖昧な基準の下で、パートタイマーの職務範囲を決定している現状があります。まず、この曖昧なパートタイマーの職務範囲の思い込みを取り除く必要があります。パートタイム労働は、通常の労働者に比べて労働時間が短い就業形態を意味するものであり、労働時間が短いことを除いては正社員との差はありません。したがって、労働時間に差はあったとしても、パートタイマーの能力が十分に発揮できるような就業形態としていくことが必要です。
 第2に、多様な働き方に対応したキャリア形成への配慮です。
 パートタイマーがパートタイマーという働き方を選択した理由は様々です。育児や介護と仕事の両立などのように時間的な制限ある働き方を希望する者や正社員としての働き方を希望する者もいます。職務においても、レベルの高い業務を希望しキャリアアップを目指すものもいれば、低いレベルの業務を希望する者もいます。こうしたパートタイマーの多様な働き方を踏まえた上で、パートタイマーの人事制度設計と運用が必要です。そのためには、従業員に求められる職務能力や知識を決定し、それらの項目について公正に評価することが必要です。
 第3に、能力発揮できる就業形態、公正評価をもとに、職務・役割に応じた賃金制度の構築です。
 企業が厳しい競争を勝ち抜くためには、全員力経営は必須です。

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